病気別

眼科で診る病気

近視

近視

近視は目から入った光が網膜の手前で焦点を結んでしまうためにピントが合わなくなった状態です。近くにあるものははっきりと見ることができますが、遠くのものはぼけて見えます。

偽近視(仮性近視)

俗に仮性近視と呼ばれている状態は、正式には偽近視(ぎきんし)といいます。偽近視では水晶体を調節する毛様体(もうようたい)が過緊張するために、一時的な近視状態になっています。本や教科書を読むときに目に近づけすぎると偽近視になりやすくなるため、30cm以上は間隔をあけるようにしましょう。

遠視

遠視は目から入った光が網膜の後ろで焦点を結んでしまうためにピントが合わなくなった状態です。近くにあるもの、遠くにあるもの両方がくっきりとは見えづらくなります。

乱視

目に入った光の屈折を調整している角膜や水晶体がゆがむために適切に焦点を結ぶことができず、ものがぼけて見える状態です。

老眼(老視)

俗に老眼と呼ばれている状態は、正しくは老視といいます。老眼では水晶体の周りにある筋肉が衰えるために水晶体の屈折力が低下し、近くにあるものが見づらくなります。「近視の人は老眼にならない」というのは間違いです。

ドライアイ

角膜は涙が表面を覆っているために乾燥から守られています。ドライアイでは涙量の不足や、はたらきの不具合で適切に角膜表面を守ることができなくなります。

ドライアイで乾燥した角膜は傷つきやすくなり、目のかわき、疲れ、かすみ、かゆみ、痛み、充血、流涙などのさまざまな症状が出ます。

加齢や生活習慣(長時間パソコンやスマートフォンの画面を見る)、コンタクトレンズ装用(コンタクトレンズを装用すると涙の必要量が2倍に増加します)などがドライアイの原因になります。

眼瞼下垂

眼瞼下垂

眼瞼下垂はさまざまな原因で上のまぶた(上眼瞼)が下がる状態で、視野が狭くなる、目が疲れる、さらには外見が変わるなどの支障を生じます。上眼瞼を持ち上げる筋肉や、その筋肉を調節する神経の働きが落ちると眼瞼下垂が起こります。

治療の基本は手術ですが、状態により手術方法は異なります。また全ての方に手術が必要になるわけではありません。

麦粒腫(ものもらい)

麦粒腫(ばくりゅうしゅ)は俗に「ものもらい」、「めばちこ」、「めいぼ」と呼ばれる病気で、眼瞼(まぶた)にある涙や汗が分泌される小さな穴に細菌が感染して起こります。

感染部位により、まぶたの外側に感染した外麦粒腫と内側の内麦粒腫に大別されます。いずれのタイプでも麦粒腫の予防は目の清潔な管理が大切で、汚れた手で目をこすらないように注意しましょう。

基本治療は抗生物質の目薬や内服薬ですが、強い炎症を起こしている場合は切開して膿を出す小手術を行います。

感染性結膜炎

感染性結膜炎は病原体により生じる結膜炎の総称で充血、目のかゆみ、目やに(眼脂)が出るなどの症状が出ます。病原体により細菌性結膜炎、淋菌性結膜炎、ウイルス性結膜炎などに分類されます。

細菌性結膜炎の原因は肺炎球菌や黄色ブドウ球菌が多く、片目に起こる場合が多いです。

淋菌性結膜炎は性行為などでヒトからヒトにうつる淋菌が原因となり、大量に膿のような目やにが出ることが特徴的です。重症化して角膜穿孔を起こし、失明する危険があるために注意してください。

ウイルス性結膜炎では両目に目やにが出ることが多く、俗に「はやり目」と呼ばれる流行性角結膜炎や、「プール熱」と呼ばれる咽頭結膜炎が代表的です。

流行性角結膜炎(はやり目)

ウイルス性結膜炎の一種である流行性角結膜炎は俗に「はやり目」と呼ばれる病気で、アデノウイルス感染が原因で起こります。

ある日突然充血し、たくさんの目やに(眼脂)が出ます。涙が出る、まぶたが腫れる、耳の前にあるリンパ節が腫れる場合も少なくありません。

病名のとおり家族内や学級内で流行する場合があります。そのため流行性角結膜炎を患った場合は、医師により感染の恐れがないと認められるまでは出席停止になります。

アレルギー性結膜炎(花粉症やハウスダストなど)

アレルギー性結膜炎は花粉症やハウスダストなどのアレルギーが原因となって結膜に炎症を生じる病気です。かゆみや充血、異物感、目やになどの症状が出ます。

またアトピー性皮膚炎の方がアレルギー性結膜炎を起こしてかゆみや目やにを生じる可能性があることも知っておくと良いでしょう。アトピー性結膜炎と呼ばれています。

加齢黄斑変性

加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)は、年齢が進むことによって網膜の中心にある黄斑に異常を生じる病気で、高齢化が進むわが国で患者数が増加しています。

ものがゆがんで見える変視症、真ん中が見えない中心暗点、かすんで見える霧視などの症状を生じ、進行すると視力の著しい低下や色覚異常を生じ、最終的に失明する場合もあるので注意してください。特に喫煙者は加齢黄斑変性になるリスクが高いです。

黄斑円孔(おうはんえんこう)

網膜の黄斑と呼ばれる部分に小さな穴ができるために視力が低下する病気です。原因としては加齢によるものが最多で、50歳以上の中高年に多い疾患です。

通常は徐々に視力が落ちていき、放置すると0.1以下にまで視力が低下します。治療の基本は手術です。

糖尿病網膜症

糖尿病網膜症は糖尿病腎症や神経障害と並ぶ、糖尿病3大合併症の1つです。糖尿病で高血糖状態が続くと、全身の血管が傷つきます。そして目の奥(眼底)にある網膜の血管が傷むと糖尿病網膜症を生じます。

目がかすむ、視野に虫やゴミのようなものが見える飛蚊症などの症状が出現し、進行すると失明する場合もあります。

早い段階で発見し適切な治療を受ければ失明を回避できますが、初期には自覚症状がありません。したがって糖尿病の方は自覚症状がなくても定期的に眼科を受診するように心掛けてください。

白内障

水晶体と呼ばれるレンズの役目をする組織が濁る病気で、加齢が大きな原因です。加齢以外には先天的な要素や、外傷、アトピー、薬剤、他の眼疾患なども原因になります。

白内障の症状は目がかすむ、目が疲れる、ものが二重に見える、まぶしいなどで、進行すると視力が低下します。

初期の段階では点眼薬が使用されますが、進んだ場合は混濁した水晶体を取り出し、代わりに眼内レンズを入れる手術を行います。

緑内障

緑内障は視神経の形状や視野の独特な変化から診断される病気で、視野が狭くなる、視野に見えない場所が現れる(暗点)などが一般的な症状です。ほとんどの場合初期には無症状で、基本的にはゆっくりと悪化するために、気づいたときにはかなり進行している場合が少なくありません。

進行すると失明し、糖尿病網膜症とともに失明する病気として大きな問題になっています。早期に発見し、できるだけ早い治療開始が失明回避に欠かせません。厚生労働省は40歳以上の方に年1回以上の緑内障の検査を推奨しています。

まず行われる治療が点眼薬で、緑内障のタイプや進行度に応じて薬が選択されますが、状態によりレーザー治療や手術が選択される場合もあります。

角膜感染症

角膜(黒目)に病気を引き起こす微生物が感染することで起こる病気です。正常の角膜は角膜上皮で保護されているために、微生物が侵入できません。ところが角膜上皮が傷つくと、病原微生物が感染しやすくなります。

病原微生物により、細菌による「細菌性角膜炎」、病原性を持つカビである真菌による「真菌性角膜炎」、アメーバによる「アカントアメーバ角膜炎」、ウイルスの一種が原因となる「ヘルペス性角膜炎」などに分類されます。

症状には強い眼の痛みや大量の目やに、充血などがあります。特にソフトコンタクトレンズを使用している方は、感染初期には自覚症状に乏しい場合が少なくありません。

翼状片

翼状片(よくじょうへん)は三角形のような結膜が角膜(黒目)に鼻側から入り込んだ状態で、まるで「白目」が「黒目」に侵入したように見えます。悪性(がん)ではありませんが、角膜の真ん中くらいまで結膜が侵入すると視力が低下する場合があるので手術で切除します。

網膜剥離

加齢や外傷、重度の糖尿病網膜症などが原因で網膜が剥がれてしまう場合があり、網膜剥離と呼ばれます。シニアの方だけではなく、どの年齢でも起こりうる病気なので注意してください。

網膜剥離になると、視力低下や視野障害、ものがゆがんで見える変視、視界に動くものが見える飛蚊症などさまざまな症状が出現しますが、個人差が大きいです。時には自分ではまったく気づいておらず、コンタクトレンズの検査で網膜剥離が偶然見つかる方もいます。

網膜静脈閉塞症(網膜静脈分枝閉塞症、網膜中心静脈閉塞症)

網膜の血管である網膜静脈が詰まる病気で、枝分かれした細い静脈が閉塞する網膜静脈分枝閉塞症と、それらが合流した太い静脈に異常を来す網膜中心静脈閉塞症に大別されます。

網膜静脈閉塞症では網膜の広い範囲に出血が起こり、眼底出血と呼ばれます。急激な視力低下、ぼんやりとかすんで見える、視野に暗い部分と明るい部分が混じる、飛蚊症などの症状が出現し、失明する場合もあります。

糖尿病や高血圧などによる動脈硬化が関係することが多い病気で60代に多い疾患ですが、20~30代でも起こりえるので注意してください。

内反症(逆まつげ)

本来は眼球にあたらないようになっている睫毛(まつげ)が角膜(くろめ)に接触して痛みや充血を起こす病気です。睫毛や眼瞼(まぶた)の方向異常が原因で、「睫毛乱生(しょうもうらんせい)」、「睫毛内反症」、「眼瞼内反症」の3つに分類されます。

重症の内反症は手術で治療します。自分で抜いたり切ったりすると、新たに先がとがった睫毛が生えて角膜を傷める場合があるので注意してください。

ぶどう膜炎

ぶどう膜炎は眼の中で炎症を生じる病気です。サルコイドーシスや原田病などの全身免疫異常、細菌やウイルスによる感染症、外傷などでぶどう膜炎になりますが、原因を特定できない場合も多くあります。

目がかすむ(霧視)、蚊のような虫が飛んでいるように見える(飛蚊症)、まぶしい(羞明)、充血などの症状が出ます。薬剤で治療します。

後部硝子体剥離

硝子体が網膜から分離する状態で、眼球の奥から分離が始まることから病名がつけられました。自覚症状がない場合も多いですが、蚊のような虫が飛んでいるように見える場合もあります(飛蚊症)。後部硝子体剥離は病気というよりは加齢現象であり、基本的に治療は不要です。

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